
ので、見かねた姉に、「遊んでないで仕事に行ってはどうか」と言われたが、「自分は技工士の免許がないから無駄だ」と言う。技工所では、人手が足りないので免許は問題にしないと言ってくれ、一週間後、アルバイトは使わないので正式な採用ということで仕事をすることになった。
技工所の仕事は、時間が長く、帰宅は午後十時が普通で土曜日も七時ごろまで。十二月には夜中の二時が何日もあった。日曜日も聴障者の集まりや行事などで、自分の時間がほとんどない状態であった。
アトピー治療に使用したステロイドの副作用で顔が赤く、はれぼったい顔になり赤鬼のよう。本人も気が滅入って苦しいのを我慢し、通勤に利用している姉の車は、あっちこっちぶっつけて破損する有様である。
職場では先輩や所長が、免許がなくでも腕を磨けば十分やっていけると考えて、いろいろ指導してくれるが、本人は免許がないので長くする気はないと考えている。
そうした状態の中で、五月になりバイク免許取得への挑戦がまた始まった。教習所から、「いつから練習を始めるか」との問合せが来た。私は、彼に職場と相談するように言った。そして翌日から午後三時−六時までの練習が始まった。その後、仕事をして十時過ぎに帰宅する。週に一度、受験するが毎回不合格であった。
六月に、職場から毎週二回程度にするよう言われたらしい。もっともだが、本人は仕事よりも免許取得が大事と考えている。
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